kagura 10周年特別企画「10年のあゆみ」 -第4回・どまつり大賞を目指して、挫折-
永久の栄華を志し 立身、泰平の世へ…
稜威 彌榮に 神楽人は舞う
数多の願いを込め 舞い踊る 神楽人
天の下に集いし乱世を勇む者
輝き 煌めいて
稜威 彌榮に乱れ舞う 美しき花霞み
微かに沈みゆく 戦の灯火と
数多の願いを込め 舞い踊る 神楽人
戦国時代を生きた3人の武将、名古屋が誇る「三英傑」がテーマ。
三英傑とは織田信長、豊臣秀吉、徳川家康のことを指します。
乱世の世を天下統一に導いた勇ましい姿を3部構成で表現しています。
鬼のように激しく強い信長、百姓出身でかつて猿と呼ばれた大衆的な秀吉、天下の統一を果たし太平の世へ導いた家康。
芸どころ・名古屋の要素を組み込み、様々な魅せ方でkaguraのオリジナリティを出しています。
織田信長
赤の法被。
冒頭では信長がこよなく愛した「能」を舞っています。
もちろん素人目線で「能っぽい振り付け」にしているのですが、MCの「人間五十年~」の口上がより雰囲気を盛り立てています。
その後、赤法被の信長達が使っている道具は「鬼面」。
3作品目ともなれば、製作~取り扱いまで慣れたもんです。
豊臣秀吉
黄色の羽織。
陽気な曲調の中、今回のメイン大道具となる「大太鼓」と共に登場。
大衆的・庶民的な秀吉のイメージから大衆芸能の「歌舞伎」をモチーフにして第2部としています。
秀吉達が“見栄”を切り、「よっ!待ってました」と掛け声(大向こう)がかかる流れは、そのまま歌舞伎を参考にしています。
徳川家康
青の法被。
豪華な盛り上がりの中に“天下太平”の象徴として、ラスト数秒間だけのVIP待遇で登場します。
大きな仕掛け-大太鼓
昨年のノウハウを活かし、人が乗り降りできる大太鼓を作りました。
見た目のインパクトは大きく、練習場所でも祭り会場でも集合場所にしていた程でした。
もちろん舞台上でも秀吉とともに登場すると客席から「お~!」と声があがり、さらに上に踊り手がいるとわかると「あ!」と驚かれていました。
ラストは大旗を最上段で振っているので、最大限の高さを使った演出となりました。
ちなみに、大太鼓も踊り手と一緒に衣装替えをします。
本当に一瞬なので当時気づいた人は映像を何度も見直したのでは?
道具に振り回されないよう、そしてこのスケールに挑戦するからには「踊りは微妙」とならないよう、踊りの練習は例年と比べ物にならないくらい過酷!
「学生チームの練習量に負けないように、kaguraは”質と密度”を高めよう」と、大人らしいことも言うようになってきました。
衣装
稜威-彌榮-では、遊女の衣装がついに(やっと?)新調されました。
3年間も大事に着続けた遊女達に拍手!ですね。
他のパートが全員同じ衣装なので、さらに遊女の華やかさが引き立っています。
と、同時にGOEMONからのこだわり?のファーがついた衣装が途絶えました。
こだわりを捨て、さらなる高みを目指した…というカッコつけた理由としましょうか。
傘パートのチームワークと努力
遊女濃安都から結成された傘パートは年々技を磨き、キレと精度を高めるために地道な練習を積み重ねていました。
稜威-彌榮-からは女性も傘パートに加わり、唯一の男女混成パートが誕生します。
最前列で傘を振り回していたかと思いきや、瞬時に舞台背景となる、ちょっと揃わないと全体の見栄えにも影響を与える、、とても重要な役割です。
今作品では、傘が白・赤・青の3色あります。
青は、既製品がないため手作業で塗っています。
在庫を切らさないよう気を付けていても、破損しやすい傘。
どまつり前にあらゆる仕入先で品切れとなったときは、本当に焦りました。
どまつりファイナルの常連チームになるために
念願のどまつりファイナリストとなったkaguraは、ここで落ちるわけにはいかない、ファイナリストで居続けなければ!と次なるステップへ進みます。
どまつり当日は演舞だけでなく、大太鼓や三色のスクリーンなどの慣れていない道具運搬があり、臨機応変にグループに分かれていきました。
実際、私自身も一番動き回ったどまつりでした。
散り散りになっても、全員が突き進む気持ちを切らさず、個人がするべき役割を頑張れたのは、吉井代表が誰よりも各所との連携に走り回っているのがきちんと見えていたから。
kaguraとしても今年が踏ん張りどころだ!と道すじを示していました。
審査結果発表の瞬間は、演舞直後の移動中。
「ファイナルだって!」と人づてに結果を聞き、喜びを噛みしめ…何度もシュミレーションをした夜のステージ演舞へ!
昨年とは違う、少し落ち着きのある高揚感。
てっぺんを取るぞ!という揺るぎない想いをこめて、kaguraの世界を魅せました。
久屋大通・光の広場でファイナルの審査発表を皆で聞くのはまだ2回目。
でも「俺たちは強い」と信じて祈るようにその時を待ちました。
結果、優秀賞以上の栄冠は取れず。大賞という頂は遠かった。
悔しくて悔しくてみんなで泣いた。完全燃焼。
“ファイナルコンテストに進出”というグレードでは純粋に喜べないほど、全員が稜威-彌榮-を磨き上げ、kaguraを信じていました。
この夜ばかりは、代表も初期メンバーを集め、「今は来年へのモチベーションがない。」と弱音を吐いて語っていたほどです。
とはいえども、稜威-彌榮-はファイナルに残った作品。
プライドをかけて審査のある次のお祭り“東京よさこい”へ気持ちを向けます。
が、やはりあと一歩が届かない。準大賞。1番になるには何が必要なのか。
kaguraは1番にはなれないのか。まだまだkaguraの挑戦は続きます。
第4回はここまで~。第5回はOG忠太から現役メンバーの「キリ&やあ」へ書き手をバトンタッチ!